電子書籍とは

 スマートフォンやタブレット型パソコンの普及により、「電子書籍」と言う単語をよく耳にするようになりました。アメリカなどではかなりの勢いで電子書籍のニーズが高まっているようです。紙の本がなくなることはありませんが、これから日本でも徐々にその流れが加速していくことでしょう。

 かなり耳慣れてきた電子書籍ですが、何故ここまで大騒ぎをしなくてはならないのでしょうか?
 パソコンやスマートフォン等で読める形を電子書籍と言うのであれば、多くの方がPDF形式の本や文章を読んだことがあるはずです。今までもデジタル化された本が数多く出回っているにもかかわらず、何故マスコミでは「2010年は電子書籍元年」と言われるまで大騒ぎをしているのでしょうか?

 ずば抜けた汎用性を持つPDFファイルですが、この形式をあまり電子書籍と呼ばない要因の一つに「形が決まりすぎている」事が上げられます。
 パソコンやiPadなどのような大きな画面ではあまり感じませんが、スマートフォンのような小さな画面では、その違いが顕著に表れてきます。
 電子書籍の最大の利点は、ユーザー側で文字の大きさや書体を変えられる事にあります。完成された形を画面に映し出すPDFファイルでは、その利便性を発揮することができません。
 iPadが高齢者に受け入れられたのは「文字の大きさを変えられることが大きな要因であった」とニュースなどでも報じられている程です。しかし、PDFファイルでも拡大きくすることは可能です。それなのに何故PDF形式ではなく電子書籍(EPUBやXMDF等)と言う新たなフォーマットを打ち立てているのでしょう。

違い それは考えるにスクロールするのではなく、1ページ全てが画面内に収まる事を目指したからでしょう(そのほかにも利便性はたくさんありますが、あくまでも文字だけのことを考えた場合です)。
 図で示したように、PDF形式ではページそのものを拡大するため、どうしても画面からはみ出した部分をスクロールして読まなくてはなりません。しかし、電子書籍と言われる形式では文字を大きくするとはみ出した文字が自動で改行されて1ページ内に収まってくのです。そして、追い出された文字はページを増やすことで吸収されていきます。
  PDF形式では固定ページ数であったものが、電子書籍形式では変動ページ数になるわけです。そのため、1ページ内を拡大して表示しスクロールしながら閲覧するPDF形式ではどうしても「電子書籍」と呼ぶには少し弱いと言わざるを得ません。